最新規格のWi-Fi 6が個人や家庭レベルで必要なのかどうか、メリットとデメリットを交えて解説します。
Wi-Fi 6 とは
Wi-Fi(無線LAN)は、端末で利用しているぶんには規格を意識する必要はほとんどありません。
新しいスマホやタブレットに機種変更し続けていくだけで常にもっとも最新のWi-Fi規格を利用しているからです。
Wi-Fi 6は、携帯電話の「5G」が5世代目というのと同様にWi-Fiの6世代目にあたる規格のことを指します。
2019年から使われはじめました。
Wi-Fi 5が2013年なので久しぶりに新しくなった規格です。
これは携帯電話が5Gになってくること、テレビが4Kや8Kになってくることなどから今まで以上に大容量高速通信の需要が出てくるための更新です。
携帯電話の5Gは4Gと比べて約10倍の通信速度になると言われています(実際には電波状態や通信機器性能、接続回線に影響されます)。
Wi-Fi 5が通信速度6900Mbpsまで可能な仕組みだったのに比較して、Wi-Fi 6は約1.5倍の9600Mbpsまで通信可能になります。
このようにWi-Fi 6は計算上、5Gとほぼ同等の通信速度が出ます。
Wi-Fiの規格を整理
Wi-Fiの規格は、通信する帯域を増やしたり、複数の経路で通信するようにしたりする技術を使うことで通信速度を上げてきました。
規格名 | 理論通信速度 | 周波数帯 |
---|---|---|
11b | 11Mbps | 2.4GHz |
11a | 54Mbps | 5GHz |
11g | 54Mbps | 2.4GHz |
Wi-Fi 4 (11n) | 600Mbps | 2.4GHz/5GHz |
Wi-Fi 5 (11ac) | 6900Mbps | 5GHz |
Wi-Fi 6 (11ax) | 9600Mbps | 2.4GHz/5GHz |
当初は11〇っていう規格名だけで呼び分けされていましたが、あとから分かりやすく世代名を付けるようになりました。
周波数が2種類使われ続けているのは電波によって特徴が異なるためです。
2.4GHzは障害物に強く壁やドアごしでも通信しやすく、5GHzは高速通信に向くが障害物には弱い特性があります。環境や状況に合わせて高速通信できるほうを選べばよいわけです(自動的により高速なほうを選んでくれる機器もあります)。
Wi-Fi 6は必要? メリットとデメリット
はたして個人や家庭のレベルでWi-Fi 6が必要かというと現時点では要りません。
Wi-Fi 6の売りは高速通信ですが、5Gスマホの実測値でもっとも速くて1Gbps出るか出ないかの状況でWi-Fi 5の約7Gbpsでまかなえる速度です。
また一般家庭で契約できるインターネット回線は100Mbpsや1Gbpsです。
無線LANがいくら高速でも外部と通信できる速度は固定回線の速度までしか出ません。
そしてWi-Fi 6対応機器はWi-Fi 5機器に比べて高価で、まだ対応機器も選ぶほどに出ていません。
現時点で個人や一般家庭がWi-Fi 6機器をまだ購入しなくてよいと結論します。
5Gスマホが今より通信速度が速くなってきた、Wi-Fi 6機器が1万円以下でいろいろ選べるようになってきた、固定回線が10Gbbpsになってきた、そんなシグナルが点灯してきたタイミングが買い時、機器変更のタイミングです。
特殊な例として遅延やパケロスにこだわるゲーマーならWi-Fi 6は買いです。高速通信、遅延が少ないWi-Fi環境を構築可能です。
一方で、たくさんの人がWi-Fiを使うようなオフィスなどならばWi-Fi 6機器を導入するメリットがあります。
構内が高速通信できる環境であれば、Wi-Fi 6の速度を享受できます。
また、Wi-Fi 6では同時にたくさんの機器が接続されていても待たせず通信できる仕様になっています。
「Wi-Fiが遅い」と利用者に感じさせない環境を構築できます。
追記
LANケーブルの規格
インターネット用のケーブルにも複数の規格があります。規格で通信速度や伝送速度に差があります。
売られているLANケーブルには「カテゴリ〇」と記載されている場合がほとんどです。
〇の部分には、5, 5e, 6, 6A,7, 7A, 8が入ります。
数字が大きくなるほど速度が上がります。基本的に上位互換性があります。
カテゴリ5の対応機器にカテゴリ6のケーブルで接続しても通常は問題ありません。
カテゴリ5が100Mbps、カテゴリ6が1Gbps、カテゴリ7で10Gbps、8で40Gbpsとなっています。
数字が大きいほうが速いわけですがそのぶんケーブルの価格も高くなるので、やみくもに数字が大きいケーブルを買うより適切なケーブルを購入するほうが良いです。
100均で買えるケーブルは5eが主流です。
現状では一般家庭ならカテゴリ6のケーブルで必要十分です。値段がほとんど変わらなければ6aを選んでも良いでしょう。
メッシュWi-Fiの規格
ホテルなどの場所で、部屋でもラウンジでもレストランでも同じIDのまま使えている経験をしたことはありません?
その多くはメッシュWi-Fiの技術をつかった無線LANです。
Wi-Fi機器はグループを作って管理されていて、端末が接続しているアクセスポイントの電波が弱くなると、グループ内の別のアクセスポイントを探してもっとも良いアクセスポイントに接続し直してくれる仕組み(ローミング)がメッシュWi-Fiです。
実際には移動する先で異なるAPに接続し直されているのですが、利用者の側はずっと同じ無線LANに接続されているように感じます。
利用者が移動するたびに利用者や機器がAPを接続し直したりする必要がなく利便性がよい仕組みです。
通信規格に802.11kや802.11v、802.11rがあります。
iPhoneだと6s以降の機種がこれら3規格に対応しています。現時点で売られているiPhoneは全てメッシュWi-Fiに対応しているということです。
一般家庭においても複数の部屋がある場合にメッシュWi-Fiは便利です。
1階と2階に1台ずつとかリビングと寝室に一台ずつメッシュWi-Fi機器を設置しておくとシームレスにいつも無線通信できる環境を構築できます。
メッシュWi-Fi機器は必要に応じて1台ごと増設することが可能で、2台よりも3台、3台よりも4台とメッシュ(網の目)を増やすほどに通信環境が向上します。